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岩手県・あさ開
藤尾正彦さん(杜氏)
あさ開にやってきた木桶と、杜氏の藤尾正彦さん
約半世紀ぶりの木桶仕込み
あさ開のお酒を醸す、昭和旭蔵
敷地内の多国籍料理レストランでも日本酒を楽しめる
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私自身は、桶仕込みの経験はないんです。43年前――18歳のときに親戚のつてを頼って千葉県の酒蔵に初めて入ったとき、酒蔵にあったのは全部ホーロータンク。木の桶は既に、外に「飾ってある」ものだったもの。その後、あさ開に来てからも、桶はもう使われていませんでしたし。
2003年に、「木桶で酒をつくってみよう」という話が、社長から来たのです。「いまの技術で、木桶で」造るとどんな酒になるのか。ロマンがある試みだな、と思いました。あさ開の酒蔵は、年間10万人ほどの見学者をお迎えする観光蔵でもあるのですが、見学された方が「何か物足りない」と言われることがある。「こんな近代的な設備で、お酒つくってるの?」とね。たしかにうちは近代的な設備が並ぶ工場のような蔵ですから・・働いている私たち自身、ときに「原点に返る」のも大切ですよね。
だけどはじめは、やはり不安でした。一番コワイのは、雑菌ね。木桶の中は、微生物だらけでしょ。そこで万が一、悪い菌が増えてしまったら・・。専門家のセンセイからは当初、「いま、桶なんかで酒つくっても、いい酒つくれないよ。酒、腐れるよ」なんて言われちゃいましたし(笑)・・。そりゃあ、やっぱり不安になりますよね。
・・とか言いながら矛盾するようですが、実はそれほど抵抗感はなかったんです。あさ開ではチャレンジ精神旺盛な経営者のもと、私もいろんな冒険をして、楽しんできましたから。ブルーベリー果汁を加えたスパークリング・タイプの純米酒づくりとか・・ちょっと変わってるでしょ?(笑)。だから桶仕込みも、とにかくやってみようと始めたんです。
それで実際にやってみたら、ブクブクと非常に発酵が旺盛で、びっくりしました。桶という器に、通気性があるからでしょうか。せっかくの桶仕込みだから、蔵にいる乳酸菌などの働きを利用する、昔ながらの
づくりの方法で醸したんです。そんなことも、関係していたかもしれませんが・・。
酒米(岩手県の酒造好適米の吟ぎんが)は、50%まで磨きました。そして完璧に温度管理できる小部屋に桶を据えて、純米大吟醸酒をつくったのです。 通常、生
づくりのお酒は酸が出て、キレのある味になりやすい。ところが、桶で生
造りをしてみたこのお酒は、あまり酸が出ませんでした。お米を磨きこんだせいもあるでしょうが、何かそこに桶の作用もあったのかもしれません。
私は当初、桶で醸すと雑菌が沸いたりして、ちょっと酸の強いお酒になるかな・・と心配したのです。でも結果は逆でした。雑菌対策で、桶を熱湯で満たす熱湯殺菌を3回ぐらいしたから、それが功を奏したのかもしれないけど・・ちょっと、意外な結果でしたね。
桶で醸したお酒は、木香(きが=木の香り)は思いのほか少ないけれど、香味のバランスも非常によくて、何か柔らかい。予想をはるかに上回る、おいしいお酒ができました。(木というイメージからくる)先入観もあるかもしれませんが・・ソフトで、それでいてそれなりのものを掌握しているというかね。ウン、「癒し系」の味なんだな。ことに年配者の方に、「すごくおいしい」と好評です。うれしいですね。
岩手県は盛岡の地で明治4年より創業、今年135年目を迎える。最近では全国新酒鑑評会で金賞を、12年間連続受賞。2005年末に「現代の名工」に選ばれた南部杜氏・藤尾正彦さんのもとつくりだされる同社のお酒は、数え挙げてみればなんと約200種類あるとか。敷地内には多国籍料理のビアレストランも展開し、メニューに若者が日本酒を飲みたくなる工夫を凝らすなど、伝統の上にも新しい日本酒の冒険を続けている。
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「十一代目源三」
純米大吟醸
木桶仕込
720ml 5,250円
このお酒の入手方法については「
桶仕込み酒
」をご覧下さい。
桶仕込み保存会事務局 〒381-0201 長野県小布施町500 TEL.026-247-7511 FAX.026-247-6369 E-mail:
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