日本酒といえば「昔からのもの」っていう意識、みんなどこかしらにあるんでしょうね。日本酒の商品名はほとんど漢字だし、書体だって習字体(毛筆)でしょう? だからお酒には、やっぱり「昔ながらの味」みたいなものも残していったほうがいい。お酒全体が工業製品みたいになってしまうと、おもしろくないと思うんですよね。
私どもの蔵では2001年に純米蔵を宣言し、醸造アルコールや糖類の添加を一切やめました。「端麗辛口なお酒がいい」といった日本酒業界の発想や評価軸にもとらわれない、多様なお酒づくりをしています。
2001年から始めた木桶仕込みも、ごく少量の生産ですがそんな酒づくりの一環といえるでしょう。山田錦をあまり磨かずに精米歩合90%で仕込み、山廃もとを使用し、昔ながらの味みたいなものを出すようにしています。
昔ながらの酒といえば、うちの蔵では貴醸酒や、それから江戸元禄期に出版された『本朝食鑑』の記録を再現したお酒もつくってきました。これなど精米歩合99%、ほとんど玄米の世界です(笑)。お米も心白(しんぱく=米粒の中心の白濁部分)だけならデンプンばかりだけど、そのまわりには酵母の好きそうなモノがいっぱいついてますからね。すごく発酵が盛んで、酒の味も濃くなる。昔のお酒って、こうだったのかなあーと思います。それはそれでおいしいし、おもしろいですね。
「桶仕込みを巡る福光社長の言葉」
「桶の話」の「桶コラム3―複雑と単調―」もごらんください。
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