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それに「ほかがやらないようなことを、一番にやるのがうちだ!」という精神が、私たちにはあるんですよ。だから、先行他社も多い桶仕込みのお酒で、我々が何を語れるのだろう――と、少々考え込んでしまったわけです。
一歩を踏み出したのは、我々が信頼申し上げる日本名門酒会会長・飯田博さんの、「木桶仕込みの伝承を、ぜひ継承してくれ」のひと言からでした。それに、(日本酒の需要低迷で)年々厳しくなる業界にあって、いま一度伝統的なつくりかたをしてみよう、とも考えて。ちょうど我々の金龍蔵に、木桶の経験がある南部の名杜氏・照井杜氏も来てくれましたし。
おもしろい、桶のお酒ができました。複雑というか、木の香りが感じとれるような味のある酒で、いろんな食べものに合う。実際、飲食店さんで「木桶仕込みだから」というより「この味が好きだから」と扱ってくださっているところも、あるようですよ。個性があり、なお一ノ蔵らしい「飲みやすさ」もある桶のお酒をつくれたのではと思っています。
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ノ蔵・金龍蔵杜氏 照井丸實さん
私は去年(平成17酒造年度)、ここに来たんです。それまで46年間は、仙台の街中にある勝山(勝山企業株式会社勝山酒造部)にいました。金竜蔵の杜氏になったのが、一昨年(2005年)の秋。そして冬、ここは蔵の中に氷が張るぐらい、すごい寒かったよ。《これは、寒いとこさ来たべな》と・・(笑)。
私が蔵に来てすぐ、この桶も蔵に運ばれて来たんだな。
初めて(の木桶仕込み)だったから、気を遣ってやったったけど、結果的にはなんかよかったみたいです。(モロミの段階では)えらい木の香りがしたったけど、絞ったら、そんなには。ほどほどだったな、かえっていいぐらいの。
47年前に私が酒屋さん(勝山)いったころ、お酒の仕込みや貯蔵の容器はもうホーロータンクでした。木桶といえば、揚(あげ)桶が20本ほどあったけど、それもやがて使われなくなって。だから木桶仕込みは、私も今回が初めて。
だけど、こういう変わった味があってもいいとは思うんだ。木の香りと、なんていうのか、まろやかさっていうか。そういう感じはあるかなと思いますね。タンクじゃない、木の味というかね。・・結構、うちの桶のお酒、おいしいなって私は思うんだけどね(笑)。
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