


京都府・宝酒造
碓井規佳さん(商品本部 清酒グループ長)

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松竹梅の宝酒造が、木桶仕込み。意外かもしれませんね。でも、実は結構変わったこと、ほかにもいろいろやっているんですよ。清酒を甕(かめ)で仕込んだり、甕で寝かせたり・・。
宝酒造の清酒づくりには、二つの拠点があります。「松竹梅」や「天」などを醸す京都の伏見工場は、年間生産20万石を超す大きな蔵。一方、灘(兵庫県)の「松竹梅白壁蔵」は、手づくりと最新鋭機械との融合を目指す1万石ほどの蔵。木桶があるのはこちらです。私自身は伏見工場に7年いた技術者で、いまは清酒全般の商品開発をしています。
かつて宝酒造灘工場と呼ばれた蔵が、阪神淡路大震災をへて2001年に生まれ変わったのが、「白壁蔵」。灘工場時代も、「白壁蔵」でも、蔵を率いるのは「おやっさん」――兵庫県北部は但馬(たじま)の人で、但馬杜氏の三谷藤夫(みたに・ふじお=72歳)です。
いまも夏は米をつくる「おやっさん」は、16歳の冬から酒づくりの世界へ。20年後の1968(昭和43)年、うちの灘工場の杜氏に。「おやっさん」が目指す旨い酒とは、《適度な香りで、ノド越しのよい、飲み飽きのこない、すべてにバランスのとれた酒》。ことに得意なのが山廃造り。桶仕込みでも、「おやっさん」の山廃造りの技を、活かしたんですよ。
どんなに大量に清酒を生産していても、酒質の向上のためには、杜氏の「わざ」は欠かせません。うちの「白壁蔵」は、そんな「おやっさんのわざ」を若い社員が継承する場。同時に、その「わざ」を機械でいかに再現するか、日々膨大なデータを取っています。
長年の勘どころというものも、要はデータ化しなければ再現は難しい。そしてデータ集積によって「この条件」というのが決まれば、機械化したほうが再現性は高いのです。そう考えて、洗米機、米に最適な水分を吸わせる浸漬(しんせき)タンク、麹(こうじ)をつくる製麹機も、すべて最新鋭のものをメーカーと共同開発してきました。
しかしどんなに機械化が進んでも、機械にできないことは残る。酒造りに伴う判断や決断は、人にしかできません。このように、最新鋭機と人の手わざが交錯する「白壁蔵」でも、微生物管理に気を遣う木桶仕込みは「一番大変だった」とのウワサもあるんですよ。
それはさておき、なぜ木桶か?――これは「好奇心」としか説明できません。今回は堺の桶屋さんにお願いし、古桶を組み直してもらいました。「白壁蔵」の桶のお酒、どこか味わいが複雑なんです。ほんのり木香もあるし色もついて、でも、行き過ぎもせず。「おやっさん」得意の山廃造りが、ええ感じで「桶らしさ」を引き出した。そんな酒にまとまりました。
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