


高知県・司牡丹酒造株式会社
竹村昭彦さん(代表取締役 社長)
浅野徹さん(醸造部醸造課課長 杜氏)

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竹村社長/「風が吹けば桶屋がもうかる」とか、金髪娘のセーラに言われて、ビックリしたよ。意味、わかっとんのかいな? ワシら日本人として、ガイジンから「桶を保存しなきゃ」なんて、言われとうないよなぁ。
浅野杜氏/でも、いまフランスやアメリカでは、高級なワインづくりは結構、樽(たる)貯蔵に戻っていますよね。だから桶仕込みのような流れは、あって然るべきという気はするんです。日本酒づくりはこれまで、よりキレイに、よりピュアにしようという流れで来ました。でも、最近は少し複雑なふくらみのある酒、個性のある酒も出てきているし・・。
竹村社長/桶仕込みの酒と聞いて最初、ワシは「オイオイ、大丈夫かいな」と思ったよ。一体、どこまで昔に戻るつもりなのか。とても現代の人が飲める酒にならないんちゃうか、あんまりムボウやないか――とね。ところが実際に桶仕込みされた酒をいくつか飲ませてもらったら、これが結構おいしいんよ! 複雑味のある、山廃(やまはい)の酒なんかに近い感じの世界。この温暖な高知の地で唯一、山廃づくりも復活してきたわが蔵としては、桶の酒づくりにもワクワク好奇心が・・。
浅野杜氏/ウーン・・ただ、桶仕込みがリスキーなのはわかっていますからね。必要なのは、取り組む蔵のみんなの姿勢。まずもっては、社長の姿勢が、ですね・・。

竹村社長/もちろん桶仕込みをやるなら、「失敗したら、桶一本捨ててもええよ」とワシが言わなあかん! 大変やぁ・・(笑)。桶仕込みはうちでも今後、やりたいと思うよ。でも、ただ単なる懐古趣味という以上の意味を、自分でつかんでからワシはやりたいんよ。だから最近、何を見ても桶の話が目に入る。この前も桶づくりの名人が、テレビに出ていて・・。
浅野杜氏/聞いた話では、あの方は風呂桶ぐらいの桶づくりが専門らしいですけど・・。
竹村社長/ええやん、風呂桶で!
浅野杜氏/でも、日本の桶というのは世界でも稀な大きさがあるのが特徴らしいですよ。だったらその特徴を活かしたいですよ。それに、酒は仕込むならある程度の大きさがあるほうが・・。やっぱりやるなら大桶、30石(約5,400P。直径と高さが約2m)ぐらいはほしいですよ。
竹村社長/・・ウーム・・。実は高知には昔から、魚梁瀬(やなせ)杉という有名な杉がある。あの大岡越前が、わが土佐藩の役人を呼びつけて、《近年、江戸で酒の値段が上がっているのは、お前とこの杉の値段が上がったせいやないか》と質問してるわけ。それが魚梁瀬杉よ。「魚梁瀬の杉なくば、酒づくりなりがたし」と
か何とかいう文章も、どこぞの文献にはあるらしい。そのぐらい、かつて一世を風靡した杉が土佐にはあったわけで・・。
浅野杜氏/・・へーえ、魚梁瀬杉ねえ。
竹村社長/・・ああ! ワシはまた桶仕込みの意味を探してるわ! でも、とにかく桶でやるからには、「この酒飲んでみて、オモシロイで〜」と言いたいもの。・・何かいい意味、ないかいな?
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