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造り手の顔が見える酒づくりにこだわっています。地元農家につくってもらう無農薬・低農薬の酒造好適米を、飯豊山系の伏流水で醸しています。桶の話もその一環なんですよ。
米や豆をつくり、味噌や醤油や酒をつくる。農業も醸造も、思えば昔はみんな農家がやっていたこと。そこから発酵技術を取り出し、ものをつくり流通させ、味噌や醤油屋、また私たち酒屋は銭をいただいてきた。うちが二百年来この地で酒屋を続けてこられたのも、地のものを使い、それを生かして新たな価値をつくってきたからだと思うんです。
うちの看板酒は昔から「伝家のカスモチ原酒 弥右衛門(やうえもん)酒」。創業者の、そして代々当主の襲名した名をつけた酒ですが、これが日本酒度マイナス20、端麗辛口の対極を行く極端な甘口でしてね。
喜多方は山間の地で、山菜やきのこの塩蔵品や乾物を素材に、味噌など甘しょっぱい味付けの郷土食が多い。味噌田楽とかね。そこに味の濃い上質な甘口の酒が、実によく合うんです。
ころも含めて、木桶をひと言で言うなら「オモシロイ!」かな。洗ったり干したりに、桶はなかなか手間はかかるけれどね。



そんなふうに地のものを育ててきたし、これからもそうありたい。そこから外れて、ただ「酒をつくる」という食品工業に走ってしまい、「安い材料を外国から買い、付加価値をつけてどんどん売る」というのでは、ダメだと私は思う。
ですから自分でも米をつくり、地元の酵母や微生物を使い、酒を醸す。そんなとき、地場ものの微生物の特色を色濃く受けとめてくれるのが、木桶という器になるでしょうね。仲間づくりも大切です。例えば喜多方の町で、6尺5寸の大桶で会津産の大豆と小麦から醤油を醸し続けている若喜商店の冠木さんとも、《桶で頑張ろう》と励ましあっているところですよ。
酒の世界では、木桶が消え、ホーローやステンレスのタンクになって、いいこともあったけど、なんというか邪気の飛び込む隙がなくなっちゃった気がする。
うちで長年使わずに置いてあった桶を、地元の桶屋・菊地さんに二つ削り直してもらい、2003年から仕込みに使い始めました。桶の酒は独特の木香がつき、酸も出る。酸のわかる人にはおもしろい味です。味の幅も出てきました。
そのうち、うちの裏山の木を伐って、新桶もつくりたいね。
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