株式会社吉澤商店 株式会社吉澤商店

大きな桶の運命を見つめ続けてきた、吉田和正さん。祖父の代に建てられたという、趣ある事務所にて

 

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解体され、再び組み直される日を待つ古い桶の側板(がわいた)

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桶職人の伊賀善隆さんと吉田さん。後ろは、組み直された味噌桶

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9メートルの側板も削れる、長い長い正直台(固定したカンナ)の刃と伊賀さん

 

 


中古良材の桶やタンクを、こちらからあちらへ

私のおじいさんの代から、ここ(現・愛知県知多郡武豊町)で桶に関ってきました。ただ、桶屋そのものではないんです。桶をはじめ醸造元が使う容器や器具のブローカーかな。例えば灘の酒屋さんの古桶を引き取り、古桶を求める銚子の醤油屋さんへ納入する・・そんな手配の一切を請け負うのが、うちの仕事でした。

 琺瑯タンクに取って代わられて用済みになった酒屋の桶を、味噌・醤油屋、いろんな処へ運んだものです。古い琺瑯タンクや圧搾機なども、必要なら修理もして、こちらからあちらへ運びました。さらに醸造元の配管の資材調達や工事、町の水道工事までこなしたおかげで、どうにか食べつないだという感じでしょうか。

 知多半島の真ん中に位置するこの町は、江戸時代から醸造が盛んです。いまも豆味噌やたまりなど地場の醸造業が、他所に比べれば残っています。おかげで現役の木桶の補修の仕事も、少しずつはある。だからうちには、現役の桶職人がまだ一人います。伊賀善隆(67歳)さん、この人を大切にしたいですよ。

すぐ近所の盛田さんがお酒の桶仕込みに挑戦されましたが、あの桶もうちの伊賀さんが組みました。桶の底板を打ち込むときには、滑りをよくする酒粕を、シール材代わりに塗りました。その酒粕、盛田の濱嶋杜氏からもらってきてね。味噌桶の底板を打ちこむときは、味噌を塗りこむんですよ。

桶の適材も竹も、先細るなかで・・

これまで珍しい仕事もさせてもらいました。コーンスターチ用のトウモロコシの浸漬槽に、木製サイロをつくったんです。直径6メートル、高さ9メートル! 組んで登ると、私なんか足が震えた(笑)。初めは国産ヒノキでつくって20年もち、次にアメリカの松でつくって10年もち――随分工夫して、最後にはガラス繊維や発泡剤で強化された合成木材でつくったけど、(木製ではなくなったので)今後は私たちの出番はなくなるでしょう。

大桶づくりに適した木材やタガに使う長い竹は、いまや入手が難しくなっています。だからいま桶を組むなら、新しい木を使うより、50年前の古桶の板をひと皮剥いてやったほうが、目の揃ったいい材質がとれる。50年前、60年前の杉のほうが、間違いなくいまの杉よりモノはいい。桶の需要が減ったから、その素材のつくり手もいなくなったわけですよ。

最近では、木の桶がいいと見直す人もいて、桶の仕事も増えてきました。酒屋さんから桶仕込み復活の動きが出てきたことも、ありがたい話です。ただいかんせん、桶屋がご飯を食べていけるだけの発注量があるかというと、なかなかね・・。この動きが、酒屋さんから醤油・味噌屋さんにも波及していくと、うれしいですね。

 


桶仕込み保存会事務局 〒381-0201 長野県小布施町500 TEL.026-247-7511 FAX.026-247-6369 E-mail: info@okeok.com